外眼筋固有知覚の役割

【要約】
眼球の外眼筋固有知覚は、長年議論が続いている興味深い分野である。
視覚についての多くの研究では、空間知覚は網膜像だけを認知しているだけではなく外眼筋固有知覚や遠心性コピー、立体視輻湊といった様々な情報を得て構築されていると考えられている。
中枢神経機構では中枢からの遠心性のコピー(Outflow)と固有受容器からの求心性のフィードバック(Inflow)の情報を用いて視覚眼球運動評価されていると考えられる。
外眼筋固有知覚の存在や神経路、その必要性や役割については、いまだ明確なコンセンサスを得られていない。
Outflowには遠心性のコピーという外眼筋固有知覚よりも明確な情報があるからである。
外眼筋固有知覚に関係した神経活動、固有受容器(筋紡錘、柵状神経終末)の存在を証明する報告があるものの、役割について不明確である。
近年、長期的に眼球運動や眼位に影響を与える、輻湊・開散に関与している可能性を示した報告も散見され、未だ病因の分かっていない斜視の発症機序の解明や治療の進展につながる可能性があり注目すべき分野といえる。

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