PCやスマホは「拘束具」!? 侮ると怖い現代病「VDT症候群」をご存じですか?

この記事はPCやスマホは「拘束具」!? 侮ると怖い現代病「VDT症候群」をご存じですか?より一部引用しています。
引用元URL https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191217-00010001-nikkeisty-bus_all&p=1
《連載》いきいき職場のつくり方 産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

■眼精疲労のおそれ
毎日の仕事にパソコンは不可欠。画面をにらみながらの作業で、目の疲れや肩こり、ストレスなどに悩まされているビジネスパーソンも少なくないでしょう。その症状、「VDT症候群」かもしれません。VDTとはビジュアル・ディスプレー・ターミナル(画像表示装置)のこと。パソコンやタブレット、スマートフォンといった情報機器を長時間、使うことで目や体、精神に負荷を与え、悪影響を及ぼすことをVDT症候群と呼びます。

VDT症候群の主な症状は以下のとおりです。

【目】眼精疲労、視力低下、ドライアイなど
【体】首や肩、腰のこり・痛み、頭痛など
【精神】イライラ、不安、抑うつ状態など

「目が疲れる」「目が痛い」「目が充血する」という症状が続くときは、「眼精疲労」が疑われます。パソコンやスマホを長時間使い、同じ姿勢で画面を見続けると眼精疲労の原因となります。また、画面に集中していると、まばたきの回数が少なくなります。まばたきには眼球の表面を涙液で潤すはたらきがあります。まばたきをしなければ涙液が蒸発し、目が乾燥して「ドライアイ」となり、角膜に傷や障害を生じやすくなります。ドライアイの初期症状として、眼精疲労が認められることがあります。

■予防には目のストレッチ

眼精疲労の予防策としては、目を休めることが一番大切です。仕事の合間に、遠くを見て目の緊張を和らげたり、目を閉じて休ませたりしてください。次のような目のストレッチも効果が期待されます。

3メートル先と30センチメートル先にそれぞれ目標物を設定し、3メートル先を10秒ほど見たら、30センチ先に焦点をあわせて約10秒間見つめてください。これを3分ほど繰り返します。これにより、目の焦点を合わせる役割を果たす「毛様体筋」という筋肉をマッサージすることになります。

温かいタオルをまぶたの上に載せて、こめかみや眉毛の下の骨のくぼみを指で押して刺激するのもいいでしょう。ただし、目が炎症を起こしていたり、充血したりしている場合は、冷やしたほうがよいので注意してください。

パソコンを長時間使用する人は、適度な休息を取ることが大切です。眼精疲労に特効薬はありませんが、ビタミン剤の配合された点眼薬が有効である場合もあります。

ドライアイの予防策としては、意識的によくまばたきすることです。涙液に近い成分の点眼薬「人工涙液」もおすすめです。室内の乾燥を防ぐ加湿器は、目の保湿にも効果があります。コンタクトレンズの長時間使用は目に負担を与えるので注意が必要です。

■「拘束性」が生む悪循環

パソコンなどの情報機器を使った作業の特徴は「拘束性」にあります。画面の表示を見るために頭や目の位置はほぼ固定され、キーボードの入力では手や腕の位置も限られ、身体の動きが極端に制限されるからです。

こうした姿勢を長く続けていると、首から肩の筋肉が緊張し、血行不良を招き、肩こりが生じます。さらに肩こりが続くと「緊張型頭痛」も起きやすくなります。

予防策としては、一般的に1時間に1回、ストレッチ体操をすることが望ましいとされます。首筋や背筋を伸ばしたり、肩を回したり、屈伸をしたりして、こわばった筋肉をほぐしましょう。

職場の管理者は照明や情報機器の配置はもちろん、勤務が長時間連続したものとならないように十分配慮することが必要です。

■頭痛や肩凝りで吐き気や不眠

IT企業に勤める男性の事例です。

仕事柄、パソコンの画面を長時間見続けなければなりませんでした。自宅に帰ると、ひどい肩こりと後頭部の痛みを感じるようになりました。頭痛がひどいときには、吐き気を感じるほど。肩こりでなかなか寝付けない日も多かったそうです。目がしょぼしょぼしたり、痛みを感じたりする症状もあり、市販の目薬を点眼していましたが改善せずにいました。産業医に相談したところ眼科の受診を促され、眼科医に眼精疲労とドライアイと診断されました。点眼薬を処方され、目の休息を心がけたところ、症状は大幅に改善したそうです。

ドライアイかどうかを知るには、まばたきをどのくらい我慢できるか、計ってみるといいでしょう。手順と判断の基準は次のとおりです。

(1)鏡に向かう
(2)大きく目を見開く
(3)何秒間、その状態を続けられるか数える

10秒未満:ドライアイの強い疑い
10秒以上30秒未満:ドライアイの疑い
30秒以上:今のところ心配なし

以下の症状にいくつ当てはまるか、からもドライアイの疑いを知ることができます。

□目が乾いた感じがする
□目がゴロゴロする
□目に何となく不快感がある
□まぶしい
□目が疲れる
□ものがかすんで見えにくい
□目が重たい
□コンタクト、パソコン、スマホ、エアコンのいずれかを頻繁に使用する

3項目以上:ドライアイの強い疑い
1~2:ドライアイの疑い
0:今のところ心配なし

いずれの場合も、ドライアイ以外の病気が隠れていることもあります。気になる場合は早めに専門医に相談してください。